井上史雄・荻野綱男・秋月高太郎(2007)『デジタル社会の日本語作法』岩波書店(2007.7.26初版発行)

腹巻きには、
「メール、ケータイのあるべき作法とは?
社会言語学の目から見た
“実用的”現代コミュニケーション論」
とある。
で、
「要するに、メールの作法は今、形成途上にある。」(30頁)
ということである。
さらに、
「使われる敬語は、従来の敬語の焼き直しでしかなかった。(中略)新しい人間関係が成立したことは事実だが、敬語は変わらなかった。変わる必要がなかったのである。」(160頁)
ただし、
「メールに関しては、いわば新しい敬語(丁寧さ)のルールが形成されつつある状態と言ってもいいのではないか。」(170頁)
「返事を出すまでの時間が、相手に対する待遇を決めている面がある(中略)。もちろん、早い方が丁寧であり、望ましいことは言うまでもない。」(172頁)
とのことである。
「Ⅵ章 デジタル表現論 ―デジタル空間を浮遊することばとコミュニケーション」
及び
「Ⅶ章 デジタル対話論 ―イエ電からケータイへ」
では、次のような内容を扱っており、最近の若者の行動がデータに基づいて分かりやすく書かれており、面白く読むことができた。
大学生を対象としたアンケート調査(アドレス登録数や送受信数、電話使用、タイトルの使用・付け方、挨拶言葉の種々など)(留守電の使用、ケータイに出ない理由など)に基づいたケータイメールやケータイ電話の使われ方
ウェブ日記での「(笑)」などの括弧付き文字列の使用や、
電子掲示板における「名無し」の機能
電話冒頭の名乗り方の変化
ところで、この本は、どんな読者層を念頭に置きながら書かれているのであろうか。
読みながら、不図疑問に思った。
ところで、現在は、様々な情報機器・手段の発達・変化がすさまじい。この本は、現在の情報機器・手段に基づいているが、もしかしたら、この本の内容は数年後には古くなってしまうのであろうか?
改行1字下げ、パラグラフに関して、ちょっとメモ書き。
○「実例を見ると、大部分のパソコンメールは1文ごとに改行している。あるマナー本の「プライベート編」実例の大部分は1文ごとに改行している。「ビジネス編」もフォーマルな通知を除くと同様である。文の最初を1字下げるわけではないので、パラグラフを構成する意識はないらしい。パラグラフにあたりそうなところでは(それ以下の単位でも)1行空けることが多い。小学校以来の作文で習い、新聞・雑誌・小説などで目にし、ビジネス文章で使うはずの文章作法と、違う。ただし、大勢に向けた通知のメールでは、作文や出版物原稿のように、長いパラグラフごとに改行を入れるという形式が健在である。(中略)1文ごとに改行する習慣は、パソコンの画面で、読みやすいものが、自然に普及したと考えられる。」(42頁)
ビジネス心得に関して、ちょっとメモ書き。
○「会社の仕事の心得として「ほうれんそう」ということがある。上司や同僚への「報告・連絡・相談」が重要だという。」(44頁)(引用者注:「報告・連絡・相談」の「報」「連」「相」に下線あり)
電話の「もしもし」に関して、ちょっとメモ書き。
○「今でも、知らない人に声をかけるときに使われることがある。(中略)初期の電話では、眼前に見えず誰か分からない人に呼びかける行動が必要とされたので、「もしもし」が採用されたのだろう。」(49頁)
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