ステファノ・フォン・ロー[文]、トルステン・クロケンブリンク[絵](2006)『小さい“つ”が消えた日』新風舎(2006.11.15初版発行)
図書館で借りて読む。
腹巻きによるストーリー説明。
「 詩と森の国から届いた
言葉の妖精たちの物語
さまざまな文字たちがすんでいる五十音村で、音をもたない小さい“つ”は、ほかの文字たちからバカにされていました。自分は必要とされていないと感じた小さい“つ”は、ある日、村を飛び出してしまいます。すると新聞からもテレビからも小さい“つ”が消えてしまって……。」
五十音村の住人たち、つまりすべての文字が「小さい“つ”」を探すことに追われたために、日本中で、すべての音・文字が消えてしまい、大混乱。
しかし、五十音村の住人たちの秘策が実り、「東京見物」中だった「小さな「っ」」は無事、五十音村に戻ってきて、めでたしめでたしというお話。
「音をもたない小さい“つ”」を主人公にしているということに興味をひかれ読んでみた。
また、著者が外国人であるため、もともと外国語で書かれた物語を、日本語の五十音に当てはめて翻案したものかと思って読み始めた。
しかし、著者は、日本語も堪能なドイツ人であり、舞台も「日本」。
「英語で書いたものを、自力でつたない日本語に訳し、日本語の監修を岩田明子さんに、途中からは小林多恵さんにお願いしました。」(「おわりに」119頁)
とのことである。
「小さい“つ”」を主人公にするとは、促音「っ」の発音に苦労する日本語学習者ならではの発想である。
「この本で私は、沈黙の素晴らしさを皆さんにお伝えしようとしました。」(「おわりに」119頁)ということである。
挿絵も楽しいし、是非ご一読を。
ただし、
「詩と森の国から届いた
言葉の妖精たちの物語」
というのは、少し違っているような気がするが。
ちなみに、本文でもタイトルでも「小さい」「っ」ではなく大きい「つ」が使われている。大きい「つ」は小さい「っ」の「お父さん」という設定だから、やはり本文にもタイトルにも、小さい「っ」を使って欲しかった。
それとも、やはり小さい「っ」は目立たないから??
なお、出版社の「新風舎」は2008年1月に破産した自費出版大手。
現在、この本は、新書では入手できないようだ。
ちょっと、メモ書き。
○「前々から発音されない文字があることを不思議に思っていた私は、音のない小さい“つ”を手にして、おじいさんにこうたずねました。」(11-12頁)
○「誰が一番えらいかはわからないけど、誰が一番えらくないかは知っているぞ。それは小さい“つ”さ。だって、彼は音を出さないからな。そんなの文字でもなんでもないさ」(36頁)
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